大学図書館休館―コロナの影響、うちの図書館のこと

2020年4月20日月曜日

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毎度、ご無沙汰しております。菜の花@育休中です。

生まれてからこれまで、震災などの自然災害による大混乱は一生のうちで巻き込まれることになるだろうというのは思ってきましたし、実際に色々とあったわけですが、まさか今の時代に感染症で緊急事態宣言が出て、世界がこんなことになるなんて思ってもみませんでした。人間の想像力ってその程度なのね…と今更ながらに思います…。この調子だと一生を終える前に、宇宙人襲来で地球がひとつに、なんて事態にも遭遇できるかもしれません。

小中高校は休校。保育園も自粛。仕事どうしよう、色々考えることはある中、幸か不幸か育休中のため、菜の花自身はそこまで直接の波をかぶっているわけではありません。お陰様で、当事者意識がちょっと薄いかも…という危機感さえあります。の割に、日々の生活に忙殺されていて、世間様に申し訳ない限りでございます。

というか、この状況で育休明け、本当にどうなることやら。いきなりテレワークしてね、と言われかねない…。いや、復帰日からテレワークとか無理ー。

さて、本題。

まずはファクト。

公共図書館は3月から休館しているところが多かったようですが、うちの大学図書館は一応、短縮開館でやってきていました。徐々に全国各地の大学図書館さんからの「休館のお知らせ」メールも届いてきました。(ちなみに菜の花は育休中ですが基本、他大学図書館さんからのお知らせは庶務から日々、転送を受けています。あと、係あてメールもすべて、個人メールに転送して自宅から確認させて頂いております。口出しはしませんけど。)

そして4月に入り。大学は学生さんは基本、登校禁止に。授業はオンライン授業へ。ただ、アクセスポイントを確保するためか、図書館の休館には至りませんでした。ただし、人員は確実に減らしていく方向で、テレワークを推奨。書架整理の学生バイトさんすら、テレワークへ移行となりました。もちろん、自宅の本棚を整理するわけではありませんよ!国立国会図書館のオンライン研修の受講や、電子書籍の選書、その紹介文作成などです。学生バイトさんはそれぞれ専攻を持っていますし、学生目線での選書はとても良い仕事だなーと、通知メールを見ながらうなずいていた菜の花です。

そしてついに緊急事態宣言、自治体からの休業協力要請により、大学全体のテレワーク化とともに、本学の図書館も臨時休館になりました(最低限の研究資源の維持や大学機能の維持のための出勤のみ可能)。

なお、基本的に決まった曜日、時間に定期的に働くひとは常勤、非常勤ともに「休業」ではなく「テレワーク」ということで、給与の保証がされる見込みです。実際、休館中のはずの今この瞬間にも、図書館ではばんばん、いつも通りの業務メールが飛び交っております…。働いてる感、凄い。あと、例外的に教員がオンライン授業の準備のために使う資料は貸出を行なうため、何人かは実際に出勤していると思われます。(菜の花は通勤していないため、実情はメールでのみしか伺い知ることができないため、憶測ですが…)

さて、そんな状況で考えることはもちろん、あれですね。図書館サービス、どうなっちゃうのー?です。とりあえず休館中ですので、来館サービスはほぼ停止しておりますね。唯一、教員によるオンライン授業作成向けの貸出のみ受け付けるとのこと。

ここで少し、過去を振り返ります。

これまでも図書館離れが叫ばれる中、ラーニングコモンズというものが登場し、瞬く間に大学図書館会を席巻しました。来館者は増え、貸出数も維持されるようになり、人を呼び込むことでこれまで通りの広報もそれなりの効果を期待できるようになりました。図書館離れのときは、広報のために図書館の中の人は、図書館外へ積極的に出て行かないといけなくなり、その手段に色々と頭を悩ませてきたのですが、ラーニングコモンズのお陰でそこのところは少し、緩んだ感もあります。いや、どちらかというと二極化したというべきですね。ラーニングコモンズを利用する層(主に学部学生)と、来館しない層(特に理系教員・大学院生)に。(なお、これまでも利用し、今も利用している層(主に文系などの文献を必要としている教員・学生や、一般利用者)ももちろん、存在していますが、動向の変化があまりない層としてここではおいておきます。)

うちの図書館でも、部門の中での係分担が少しずつ変更され、ラーニングコモンズを中心とした「来館者サービス」と、電子リソースを活用させる「遠隔サービス」の二本立てでそれぞれを発展させる形になってきていたわけですが。しばらく前は後者が盛んで、ラーニングコモンズの登場で一気に前者が盛んになり…そして今回、コロナによって圧倒的な後者のサービスの発展が求められることになりました。

さあ、ようやくここに辿り着きました。そうですよ、来たんですよ、ついに!この時代が!!電子ジャーナル、データベースなどの主に研究者向けのサービスは、ここ20年くらいの努力により、すっかり浸透してきたと思います。そして若干後発ながらも、既に20年近くの導入歴のあるはずの図書館の電子書籍どれだけ色んな広報をしても、これだけ世の中に娯楽関係ではすっかりおなじみになってきたはずにも関わらず、爆発的な浸透には至らなかったこの電子書籍を!!!売り込んで周知し、学生さんに使い倒して頂くのに絶好の機会が!!!今!!!!やってきたのですよー!!!!!о(ж>▽<)y ☆

…すみません、取り乱しました…。

いや、実は図書館が閉館し、先生にはオンライン授業用の資料の貸出をするよ、というお知らせをした結果、先生から

「授業してもさー、学生さんがレポート書くのには、図書館の本必要でしょー?先生だけに貸し出すんじゃなくて、学生さんにも貸出してよ!」

という要望があったのですよ。いやいやいや、先生、それでは貸出本を受け取るためには学生さんが登校しちゃうじゃないですかー!登校禁止、不要不急の外出禁止なのに、外出して本をちゃんと受け取ってレポート書けよ!って学生に推奨しちゃ、まずすぎますでしょ!!

でもね、先生のご不安、分かります!物凄く。その辺の有象無象なインターネット記事でレポート書かれちゃ困る、というのも。下手すると添削するのに、レポート課題に対する理解度以前に、情報リテラシーの基礎から評価を始めないといけない。それ、物凄く大変。そもそも理系のレポートだと、参考になるサイトって物凄く少なそうですし。

それで、あー、電子書籍だよ!と。菜の花は、いきなりハイテンションになってこんな記事を書き出したというわけです。

そう、家からでも教科書が読めたらいいよねー!と、かつて電子書籍の選書を担当していたとき積極的に、実際に自分が学生時代に使っていた物理系や数学系の教科書類を選書しまくって導入しているんですよー、うちの大学。流行りの本と違い、これらは多少古くても内容が変わらないので、しっかり今でも使えるはず。そしてその後もうちの大学は、こつこつこつこつと沢山の電子書籍を導入していっています。文系のみなさんの必須書籍も、電子化されているものはどんどん入れていましたから、きっときっと、これらは今、学習に活かせるはず。これまでの蓄積が、今、活かされる時がきたのです。

ただしこれらは、あちこちに飛び散っており、大変に使いづらい…。電子書籍はプラットフォームがいくつもあって入口多すぎー、しかも結構沢山の本が読めるのに、まとまりないー、探しにくいー!!という大問題が。欲しい本が埋もれるんです…。だから浸透が進まない…というのは分かっていたものの…。

とにかく、今が一番のチャンスなのです。広報。そして使いやすくナビゲートする「入口・顔」の整備。更にはこれらの活かし方を教えるヘルプや講習的なものの準備と運用(FAQ、オンライン講習、チャットなどによる比較的短期決戦な質問できる場の提供などなど)。まさにバーチャル図書館を、オンライン上に建設できるか?ですね。

これを出来るかどうか?で、図書館への信頼感は変わってくるのでは?と思う菜の花です。ああ、どうかどうか宜しくお願いしますよー!!自分でやらず、人任せでごめんなさい。。。このチャンスを掴み、うまいことオンラインの世界での図書館の存在感を確立していくことが出来たら…コロナ後の図書館でもずっと使えるし、サービスのひとつの柱として分かりやすく提示できるようになります。

しかし人は、大きく変わるのを難しく感じるもの。もしかすると本当のバーチャル図書館の建設が一番、利用者には受け入れやすいかもしれないとも。3D空間を準備し、館内を歩き回るアバターを作る、電子書籍をプラットフォームごとに提示するのではなく、まるで従来の図書館で配架された本を見るように、横断的にNDC順などにして並べてしまう、窓口の人にRPGみたいに話しかけるとチャットで答えてくれる、みたいなものの方が、分かりやすいのかもしれません。流石に今、この状況で一朝一夕で作れるものではないので、それは無理でしょうが、今後の方向性のひとつとしてはありなのではないかなあと思ったりもするのですが…ちょっと古い人間過ぎますかね?

段々と方向性があやしくなってきたので、ここまで!

さて…それでは育休中のひとは、またお子さま方に翻弄される世界に戻ります…。また、機会がございましたら、お会いいたしましょう。それでは…。


書いている人

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理系院卒の大学図書館員。10年ほど勤めてのち産休・育休3回目。「参考調査担当」(3年間)→「某文系図書室(主担当:和洋図雑の目録)」(3年間)→「某資料室(主担当:総括&和洋図雑の目録)」(2年10ヵ月)→産休・育休(1年2ヶ月)→「閲覧担当」(2016年4月~、産育休2回含む) 「菜の花の大学図書館日誌」 「菜の花さんちの3姉妹観察日誌」

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